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深淵のdetective・31

「ワタルさん、大丈夫かなあ、先生?」

西園寺とアラタは帰国の途に付いた

シノブ達も一緒だ

ワタルは両親に帰国を勧められたが太一郎とアメリカで暮らし続けて行くと言う

「マフィアの連中も捕まって、狙われる事も無いだろうし、ターナーの助言で、自宅のセキュリティを強化したんだ。大丈夫」

それに

「頼もしい、ボディガードもいる事だし」

ボディガード?誰の事、先生?」

*****

「…リミット?」

1ヶ月の休暇を取り太一郎の面倒を見る事にしたワタルはインターホンの画面を確認してドアを開けた

「よお、ワタル。やあ、ご機嫌か、タイ?」

ワタルの腕の中の太一郎の顎を擽る

「どうしたんだ、リミット?…その?」

リミットの足元にはスーツケースとトランク

「引っ越しだ」

「引っ越し?何処に?」

リミットはニヤリと笑いトランクを持ち上げた

「ここにだ」

「えっ!?」

ワタルの驚きを他所にリミットはずかずかと中に入ると客用寝室に荷物を運び込んだ

「リミット?」

どうして自分の家に彼が引っ越して来たのかワタルは見当がつかなかった

「ワタル?休暇が終わったら、ベビーシッターを雇って、タイを見て貰うつもりなんだろ?」

確かにそのつもりだ

「お前は、ベッカの仕事のシフトに合わせて、自分のシフトを組んで、ベッカと交代で、タイの面倒を見てたろ?」

俺はベッカのバディだから仕事のシフトは同じだ

「だから、お前が仕事の時は、俺がタイの面倒を見る」

「ええっ!?で、でも…」

「大丈夫!以前から、休みの日はよく、ここに来て、ベッカを手伝ってた。タイのミルクの作り方も、おしめの換え方もバッチリだ」

でもリミット自身の生活は!?

「…それは」

リミットは顔を顰めボリボリと頭を掻く

「リミット?」

「ああ!もう、解れよな!」

吐き捨てるように言うとリミットはワタルの後頭部に掌を回し引き寄せると唇を重ねた

「っっ!?」

「俺が、お前と出会ったのは、ベッカと同時だったんだぞ!」

だけどワタルはストレートだし相手がベッカだからその時は諦めたのだ

「無理強いはしない。だが、遠慮もしない!」

驚いて言葉が出ないワタルにリミットは宣言した

「お前が、ベッカ以外の女に目移りするのを、徹底的に邪魔してやるからな!」

*****

「うわ〜…、ワタルさん、お気の毒」

西園寺の話を聞いたアラタはクスクスと笑った

「でも、ベッカさんは、安心だね?」

ワタルの事も太一郎の事もリミットなら委せられるそう思う筈だ

「あ!そう言えば、リミットって、なんでリミットって渾名なの?」

聞き忘れてた

「ねえ?シノブくんは、リミットの渾名の由来、知ってる?」

通路を挟んだ隣の席に身を乗り出して話し掛ける

「うん、彼は義姉さんとバディを組んだ当初、遅刻ばかりしてたんだって」

その度に時間ギリギリセーフだと主張してある日ブチ切れたベッカに投げ飛ばされた

「以来、遅刻は無くなったけど、リミット(ギリギリ)って、呼ばれるようになったんだって」

そこからリミットはベッカに頭が上がらなくなったらしい

つづく