読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

すだち

スダチと言えば、焼いたサンマなんかに良く添えられていて食べる直前に絞って掛けたり、興が乗ればその掛けた勢いで食べたりするワケなんだが、その話とは別に昨日下の子が巣立ちをした。

思えば3月は出来るのかどうなのか最後まで判らなかった卒業が出来たことを皮切りとして、卒業したらしたでその後の段取りをするべく新居を決めるためにアチコチ見て回って収納する場所が全然ないし薄暗いからここはダメだと言ったり賃貸契約したり新生活のアレやコレやを買い揃えたりと、お隣韓国では前大統領が逮捕されて大変だったが、ウチもそれなりに大変だった。

一月前というと、明後日卒業なんだから出された課題をやったのを持って行く最後の日だというのに、「学校行かない」が始まってしまって目の前が真っ暗になっていた時で、あの頃から今日のこの状況は全く想像すら出来なかった。それを思うと感慨深い。

そんなぐうたらでも、いざ居なくなるというのは寂しい。

これから住む所は車で30分くらいの所なので近いから良いじゃんみたいな話になるんだが、自分もそうだっただけに一旦外へ出たらもう帰ってこないのは判っているので、距離の問題ではない。それに、優秀でしっかりした余所のお子様ならいざ知らず、発達障害系で学年でビリでどう見てもだらしないのが一人暮らしするわけで、常識的にはそんなのは表に出さないんだがそこを敢えて放り出すことにした不安もある。

当初の予定では本人が今日家を出ると言うので、冷蔵庫とか洗濯機とかの大型の荷物が届いたり、都市ガスの開栓の日取りを今日にセッティングして、それらに立ち会うために間に合うように家を出る段取りだったんだが、発達障害系の旦那に社会的予定はサッパリ通用しないんであって相変わらず寝たままで起きる気配が微塵もないんで、かといって追い出そうという算段をしてるわけでもないんでそのまま寝かせてやって、自分達親がマンションまで何度か往復して事は済ませた。卒業の時もそうだが、言い出しっぺのクセに最後の最後まで中々動かないのには苦笑してしまう。

事が全て済んでもう今日は行かないのかなと考え出した頃、おもむろに起き出してシャワーを浴びて、犬としばらくじゃれ合って出発となった。

犬は二代目のマルチーズで、初代のマルチーズが亡くなった時は最初の登校拒否が始まった時で、「小さい頃の麻耶さん(犬の名前)に会いたかった」なんて言うんで、ホントはどうせ飼うなら今度は別の犬種も良かったんだけど、アキラの言葉を受けて嫁さんが直ぐに買ってきた同じ色の犬である。生まれて間もない犬だったから、何らかの慰めにはなったかもしれないが結局小学校には通わないで卒業した。高校になって学校に行く行かないで色々と悶着を起こしたが、勢い余って犬に当たるような事は絶対になかった。そういえば一緒に飼ってる猫は、まだ小さくて木に引っ掛かってピーピー鳴いてるのをコイツが連れてきてしまったんだっけと、そんな事を思い出したりした。

そんなこんなで向こうに行っても、まだ買い揃える物があるんでアレやコレやを選んで組み立ててたりしてドタバタしてたらすっかり遅くなって、帰宅したのは夜中の11時過ぎだった。すっかりお膳立てを整えて、サッパリした気持ちで送り出してそれじゃ、となんないところが発達障害系の面目躍如たるところかもしれない。自分が一人暮らしを始めた時はもっとスマートだったような気がする。

行きは三人だったけど、帰りは暗い道を嫁さんと二人で、そういう状況はこれまでと同じだが、これまでとは違ってあちらに拠点を構えてもう帰ってこないワケだから、とても寂しい感じがした。

朝起きると彼の部屋の中が空っぽで、いつもはドアが閉まっているけど寝てるのが判ってたのが今度は誰も居ないのがありありと判るので殊更寂しい感じがする。

しかし、寂しいとは思うが、戻ってきたらそれはそれで困るよなぁとも思う。それを考えると何となく寂しいままの方が、あちらには未来があるということを意味しているのでよっぽど良い。先の事は判らないが、このまま続いてほしいと思う。

空いた部屋は不肖アタクシの部屋にして、ベッドは上の子に回すことになってるので、この先も巣立ちと連動したイベントが続く。ベッドはさっさと動かすにしても、部屋の移動は別に急ぐわけでもないから、ゆっくり進めることにするつもりだ。