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【新刊書籍案内】飯田泰三『大正知識人の思想風景』

去る4月24日(月)、法政大学名誉教授及び島根県立大学名誉教授で思想史家の飯田泰三先生の新著『大正知識人の思想風景――「自我」と「社会」の発見とそのゆくえ』(法政大学出版局、2017年)が出版されました。

本書は飯田先生が1973年度に東京大学に提出された博士論文「大正知識人の成立と政治思想――「文明批評家」の場合を中心に」を書籍化したもので、5篇17章にわたって阿部次郎、左右田喜一郎、土田杏村、野村隈畔、中沢臨川、生田長江長谷川如是閑ら文明批評家の著作を基に「大正知識人」の誕生と発展、そして特徴が論じられています。

飯田先生は私が法政大学大学院国際日本学インスティテュート修正課程及び博士課程に在籍した際の指導教員であり、かねてから博士論文の書籍化のお話をうかがっていました。

それだけに、新著の刊行に感慨もひとしおとなるとともに、本書が表記の統一や体裁の変更など以外には博士論文の内容を改めずに上梓されたことは、飯田先生の学問がまさに大器早成であったことを実感するには十分なところです。

明治と昭和という大きな時代の間にあって、ともすれば存在感に乏しくなりがちな大正時代に活躍した知識人たちの姿を資料の丹念な分析と緻密で実証的な考察によって描き出す本書は、「大正知識人」の全体像に迫った最初の体系的な研究書であるとともに、今後の研究の基準となる一冊となることでしょう。